2022/1/29

【論文出版】反事実モデルにおける交絡に関して

因果推論は、医学における重要な課題です。

その際にしばしば直面するのは、交絡の問題です。

この度、曝露と非曝露を入れ替えた場合に関連指標の値が変わるか否かに基づくアプローチが、反事実モデルにおける交絡とどのような関係にあるかを論じた原著論文が、Journal of Epidemiologyに出版されました。

Suzuki E, Yamamoto M, Yamamoto E.
Exchangeability of measures of association before and after exposure status is flipped: its relationship with confounding in the counterfactual model.
J Epidemiol. 2022 (In press). (doi: 10.2188/jea.JE20210352)
本論文へのリンク

本論文の要旨は以下の通りです。

  • 対象集団で曝露と非曝露を入れ替えた場合に、関連指標の値が変わらないことがある。
  • 一般的に、曝露と非曝露を入れ替えた場合に関連指標の値が変わるときには、「分布交絡(confounding in distribution)」が常に存在する。
  • 一般的に、曝露と非曝露を入れ替えた場合に関連指標の値が変わるときには、「指標交絡(confounding in measure)」が存在するか否かは言えない。
  • 曝露と非曝露を入れ替えた場合に関連指標の値が変わらないとしても、分布交絡と指標交絡はいずれも存在し得る。
  • 本質的に、関連指標の値が変わるか否かに基づくアプローチは、交絡の定義を与えるものではない。

これらの知見は、交絡の観念を区別することの重要性を強調しています。

本研究によって、交絡の理解が深まることを期待します。

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【論文出版】脊髄動静脈シャントの罹患率と臨床的特徴

岡山県の中核施設による多施設共同の悉皆調査を行い、脊髄動静脈シャントの罹患率と臨床的特徴を検討した論文がJournal of Neurosurgery. Spineに出版されました。

Hiramatsu M, Ishibashi R, Suzuki E, Miyazaki Y, Murai S, Takai H, Takasugi Y, Yamaoka Y, Nishi K, Takahashi Y, Haruma J, Hishikawa T, Yasuhara T, Chin M, Matsubara S, Uno M, Tokunaga K, Sugiu K, Date I.
Incidence and clinical characteristics of spinal arteriovenous shunts: hospital-based surveillance in Okayama, Japan.
J Neurosurg Spine. (In press) (doi: 10.3171/2021.7.SPINE21233)
本論文へのリンク

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2022/1/22

救命救急科の小原先生(写真左)が岡山県医師会学術奨励賞を受賞しました

救命救急科の小原先生(写真左)が岡山県医師会学術奨励賞を受賞しました
Int J Environ Res Public Health.に掲載された共著論文「Short or Irregular Sleep Duration in Early Childhood Increases Risk of Injury for Primary School-Age Children: A Nationwide Longitudinal Birth Cohort in Japan」が評価され、受賞されています。
おめでとうございます。

→受賞講演の情報へのリンク
→受賞論文に関する情報へのリンク

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2022/1/21

新型コロナウイルスワクチン(ファイザー社コミナティ筋注)3回目接種後副反応調査(中間報告)を紹介しています

新型コロナウイルスワクチン(ファイザー社コミナティ筋注)3回目接種後副反応調査(中間報告)を紹介しています。詳しくは、下記ご覧ください。


新型コロナウイルスワクチン情報

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2022/1/14

【論文出版】新型コロナワクチンの重症化予防効果に関する研究

岡山市の新型コロナウイルス感染症患者における、ワクチンの重症肺炎、肺炎の予防効果に関する研究です。この研究では、重症肺炎は酸素投与を要する肺炎(中等症Ⅱ以上)、肺炎は画像で診断された症例と定義しています。期間は2021年7月~9月(第5波)、対象者は20歳以上の2692人、交絡因子として、年齢、性別、喫煙歴、高血圧、糖尿病、心疾患、呼吸器疾患、肥満を調整しています。ワクチン未接種者と比較し、ワクチン2回接種者のリスク比(95%信頼区間)は、重症肺炎で0.25 (0.09-0.67)、肺炎で0.25 (0.13-0.50)でした。この結果から、ワクチン接種により重症肺炎を75%減らす効果があったと推定されます[(1-リスク比)×100(%)]。

Matsuo R, Matsumoto N, Kadowaki T, Mitsuhashi T, Takao S, Yorifuji T.
Effect of mRNA vaccines in preventing COVID-19 severe pneumonia among COVID-19 patients in Japan.
J Epidemiol. 2022 Jan 8. doi: 10.2188/jea.JE20210487. Online ahead of print.

本論文へのリンク

レター概要

どうぞご覧ください。

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2022/1/10

人工知能を活用したメンタル休職者に対する復職判定支援ツールの開発

こちらのページに研究に関する最新情報を掲載します。

2022.6.2
 研究協力者として、大阪市教育委員会栗原先生、岡山大学保健管理センター宮道先生に
 加わっていただきました。

2022.3.2
 集合形式によるモデル事業説明会は、終了しました。
 2022年夏以降に、WEBシステムの試用が開始される予定です。
 それまでの間は、以下の流れにより、ご関心のある
 企業担当者様につきましては、説明、相談等対応させていただきます。

 こちらから申し込みください。

1.説明会動画視聴申込
 以下の説明会(2/18開催分)のレコーディング動画URLを案内します。
 あわせて、説明会の際に参考にしていただいた、
 以下の「事前試聴動画」のパスワードもご案内します。

2.引き続きご関心がいただける場合
 案内させていただいたメールアドレスへのご質問
 あるいは、
 個別の相談機会の設定をさせていただきます。


モデル事業説明会(終了しました)
1.日 時:
 2022年2月7日月曜日 14時~15時
 2022年2月18日金曜日 14時~15時
 2022年3月2日水曜日 14時~15時
2.方 法:Zoomによるオンライン開催


参考
 ルール・業務遂行レベルにもとづくメンタルヘルス対応とは
 動画へのリンク(視聴を希望する場合も上記フォームから連絡先を登録してください。メールでパスワードを案内します)
 ビジネスレーバートレンド誌(2011年7月号


モデル事業の概要

人工知能の活用として、すぐに思い浮かぶものとして「コンピュータ将棋」を挙げられる方は少なくないのではないでしょうか。一頃までは、チェスではコンピュータが勝っても、将棋は複雑だから、まだまだ人間のプロ棋士の方が優れているといった印象もありましたが、いまやプロ棋士もAIを上手に活用する時代になったと言えそうです。ところで、コンピュータ将棋はどうやってこのような躍進を遂げたのでしょうか。秘訣は、いたってシンプルで、過去の名人たちの膨大な棋譜を、いま目の前にある盤面と比べて、なるべく似たものを探し出す。そして、昔の棋譜で指された、「次の一手」を指すというものだと言うことです。

 ところで、職場におけるメンタル休職者に対する復職判断へのコンピュータの活用は遅れていると思いませんか。対応のための理論を構築したり、あるいは、復職までの手順をマニュアル化して、療養報告などの様式により必要な情報を定型的に収集する仕組みによって復職判断を少しでも容易にする試みを、岡山大学でも行ってきました。もちろん、システム化も一定程度は実現できたものと考えてはいますが、こうしたアプローチは、現状の(属人的な)復職判断に強い問題意識をもっている企業にしか訴求できないところがありました。ここには復職判断は医師が行うものとの強い思い込みもあり、実際に産業医や保健師などの、いわばプロが判断しているはずなのに、実態として円滑な復職が実現できているとは思えないというギャップへの気付きがなされにくいという背景もあるのかもしれません。

 また、近年では対応事例を多く紹介する書籍やインターネット上にも対応事例集のようなものが整備されるなど、自分の手で主体的に「似たような事例」を探すことは可能にはなってきました。ところで、どれが似ているのか、一見似ているように見えても、参考にしてよい事例なのかどうなのかなどの判断は、やはり属人的なままであることにはかわりありません。そこで、本モデル事業では、過去の事例を整理し、その後の復職達成という観点から「事例の類似性」をAIに判断させ、みなさんが目前で困っている状況について、500文字程度の「相談内容」を入力してもらうことで、「似たような事例」と対応方針、その後の経過を提示することのできるシステムの開発を進めています。現時点の到達点としては、AIによる学習が完了し、「相談内容」に対して、3、6、12ヶ月後の復職確率を表示させるところまで完成しています。来年度の早い段階において、当初の想定である「似たような事例」の提示ができる目処がたったことから、今回、モデル事業実施のための説明会を開催する運びとなりました。

 なお、モデル事業の詳細につきましては、Zoomによる説明会にご参加いただければ幸いですが、二段階でのご参加を想定しております。第一段階は、「似たような事例」の提示ができるシステムの準備ができ次第、都度の細かい登録などはなしで、システムを試用いただけるようにします(フォームから「情報提供を希望する」にチェックをお願いします)。第二段階としては、より積極的なご参加をいただくため、研究協力にかかる協定を締結させていただき、システムではうまく対応しきれない、ご相談事例に対する対応方針、その後の対応に関する支援についてもAIではなく、研究者自身によるサポートを行わせていただきます。いずれの場合も、提供いただく相談内容は、個人情報などを加工のうえ(もとより入力いただく必要はありませんが、残っている情報があったとしてもAIによりマスキング処理します)、AIの学習に利用させていただくことが前提となります。

研究責任者 岡山大学学術研究院医歯薬学域 准教授 高尾総司
研究協力者 大阪市教育委員会 専属産業医 栗原敏修
研究協力者 岡山大学保健管理センター 准教授 宮道 力


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