2025/7/16

【論文出版】喫煙が加齢性難聴に与える影響:健診データを用いた縦断解析

香川県の滝宮総合病院の健診データを用い、初回健診時の喫煙状況から非喫煙、過去喫煙、現喫煙(1日10本未満/10本以上)に分類し、1,0kHzおよび4.0kHzとの聴力閾値の関連について分析しました。マルチレベル重回帰分析モデルを用いて、それぞれの喫煙状況における初回健診時の聴覚閾値の差、および加齢に関わる年次変化を評価しました。その結果、1.0 kHzでは、喫煙と聴力との有意な関連は認められませんでしたが、4.0 kHzでは、現喫煙者(1日10本以上)は非喫煙者と比べ、初回健診時の聴力閾値が2.51 dB高い結果でした(p < 0.01)。さらに年次の聴力閾値悪化は非喫煙の0.50 dB/年と比較して、過去喫煙および現喫煙(1日10本以上)でそれぞれ0.73 dB/年(p < 0.01)、0.78 dB/年(p < 0.01)と有意差を認めました。今回の研究結果は、喫煙が高音域の聴力障害と関連し、さらに加齢性難聴の進行を加速させる可能性を示唆しています。この知見は、高齢化社会における喫煙対策や、聴覚健康の維持に喫煙対策が重要であることを明らかにしました。

Uraguchi K, Sugaya A, Suzuki E, et al.
Impact of smoking on age-related deterioration in hearing: A cohort study using health checkups.
Arch Gerontol Geriatr. Published online July 7, 2025. doi:10.1016/j.archger.2025.105947
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