2021/2/18

藤永潤先生が、第48回日本集中治療医学会学術集会で優秀演題賞を受賞しました

2021年2月にウェブ開催された第48回日本集中治療医学会学術集会において、客員研究員である藤永潤先生らの演題が優秀演題賞に選ばれました。

藤永潤,鈴木越治,入江洋正,小野寺睦雄.
重症患者のBody Mass Indexと人工呼吸器依存の関係―JIPADデータを用いたコホート研究.
第48回日本集中治療医学会学術集会,神戸(ウェブ開催),2021年2月12–14日.口頭発表.

優秀演題賞:第48回日本集中治療医学会学術集会 (jsicm.org)

BMIは様々な健康アウトカムと関連し、重症患者においても重要な指標となります。低体重は重症患者における死亡率や転帰不良との関連が、肥満は人工呼吸期間、入院期間の長期化が報告されています。しかし、肥満は重症患者において死亡率が低いとも報告され、重症患者の経過に与える影響は一定しません。

本研究では、日本集中治療医学会の全国的なデータベースを用いて、重症患者における集中治療室(ICU)入室時のBMIと退室時の人工呼吸器依存状態の関係を評価しました。

レベル1を患者、レベル2をICUとするtwo-level logistic regression analysisを行い、Markov chain Monte Carlo法を用いて、人工呼吸器依存オッズ比を計算しました。

その結果、BMIが18.5未満の人工呼吸器を使用した重症患者では、BMIが18.5~23の患者と比較し、ICU退室時に人工呼吸器依存状態となる可能性が高まることがわかりました(調整済みオッズ比 1.46 (95%信用区間: 1.18–1.79))。ICUでの死亡、院内死亡、入院中の気管切開も、BMIが18.5未満の患者で増加が見られました。また、median odds ratioは1.64 (95%信用区間: 1.37–2.02) であり、ICU間でばらつきが大きいことが示されました。

今回の結果には、フレイルや低栄養状態による影響が考えられます。そのため、今後はこれらに関する指標も含まれたデータベースでの研究が望まれます。

なお、本研究に関する論文は、Respiratory Careに出版される予定です。

Fujinaga J, Suzuki E, Irie H, Onodera M.
Body mass index and ventilator dependence in critically ill patients in Japan: a cohort study using a nationwide database.
Respir Care. (In press). (doi: 10.4187/respcare.08660)

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