研究業績

2021/10/8

【論文出版】Marginal sufficient component cause modelに関して

因果推論は、医学における重要な課題です。

最近、新たな因果モデルとしてmarginal sufficient component cause model(周辺十分構成原因モデル)が提唱され、幾つかの論文で用いられてきました。

この度、このモデルの有用性について評価した原著論文がEpidemiologyに出版されました。

Suzuki E, Yamamoto E.
Marginal sufficient component cause model: an emerging causal model with merits?
Epidemiology. 2021;32(6):838–845. (doi: 10.1097/EDE.0000000000001411)
本論文へのリンク

本論文では、この新たな因果モデルを提唱した研究者らが強調しているagonismの現象にフォーカスを当てています。特に三つの観点から、marginal sufficient component cause modelの有用性を考察しました。

結論として、marginal sufficient component cause modelには大きなメリットは見られないこと、そして、従来のsufficient (component) cause modelとcounterfactual modelの対応関係を理解することが、因果律の深い理解につながることを論じています。

なお、Marginal sufficient component cause modelは、以下の論文等で提唱されたものです。

Lin SH, Huang YT, Yang HI.
On identification of agonistic interaction: Hepatitis B and C interaction on hepatocellular carcinoma.
Stat Med. 2019;38(13):2467–2476.

Lin JH, Lin KI, Lee WC, et al.
Stochastic approach for mechanistic interaction under longitudinal studies with noninformative right censoring.
Stat Med. 2020;39(2):114–128.

Huang YT, Tai AS, Chou MY, et al.
Six-way decomposition of causal effects: Unifying mediation and mechanistic interaction.
Stat Med. 2020;39(27):4051–4068.

Tai AS, Huang YT, Lee WC, et al.
Conceptualization of agonistic interaction in a marginal sufficient component cause model: an alternative interpretation for subadditive interaction.
Journal of the Chinese Statistical Association. 2020;58(3):168–198.

2021/10/8

【論文出版】十分原因モデルにおける因果メカニズムに関して

因果関係は、しばしばメカニズムの観点から論じられます。

また、医学分野では長年、Austin Bradford Hill卿により提唱されたHill’s viewpointsをもとに因果関係が論じられてきました。

この度、十分原因モデルにおける因果メカニズムを評価するにあたり、Hill’s viewpointsとの関係性を論じた原著論文がEuropean Journal of Epidemiologyに出版されました。

Suzuki E, Yamamoto E.
Strength in causality: discerning causal mechanisms in the sufficient cause model.
Eur J Epidemiol. (In press). (doi: 10.1007/s10654-021-00798-6)
本論文へのリンク

本論文では特に、Hill’s viewpointsのうち一番目の「強固性 (strength)」に着目し、因果関係におけるメカニズムをどのように概念化し評価できるかについて、簡単な数値例を用いて論じています。

また、Hill‘s viewpointsのうち四番目の「時間性 (temporality)」、六番目の「妥当性 (plausibility)」の観点から十分原因モデルの特徴を論じたほか、哲学分野で用いられてきたINUS条件との関係性にも言及しています。

結論として、因果律を評価するためには、適切な因果モデルを相補的に用いて吟味することが重要であることを強調しています。

2021/10/6

【寄稿】頼藤が写真集『MINAMATA』に「医学からの報告と解説」を寄稿しています

頼藤が、写真家W. ユージン・スミス、アイリーン・美緒子・スミス著の写真集『MINAMATA』に、「水俣病 医学からの報告と解説」を寄稿しています。長らく絶版となっていた作品ですが、映画の公開に合わせ、新刊となり蘇りました。水俣病を描写した貴重な写真集だと思われます。良かったら、ご一読ください。

また、W. ユージン・スミス、アイリーン・美緒子・スミスを描いた映画「Minamata」も現在公開されており、写真集に出てくるシーンが描かれています。写真集と一緒に、水俣病の存在を知ってもらえたらと思います。

写真集へのリンク

どうぞご覧ください。

2021/7/3

【論文出版】肉腫肺転移患者における術前予後予測スコアリング

肉腫肺転移患者における術前予後予測スコアリングについて、Annals of Surgical Oncologyに論文が出版されました。

本論文では、過去10年間の肉腫肺転移に対する肺切除症例から術前予後因子を分析し、簡便な予後予測を可能とするSarcoma Lung Metastasis Scoreを示しました。

Yamamoto H, Yamamoto H, Soh J, Suzuki E, Namba K, Suzawa K, Miyoshi K, Otani S, Okazaki M, Sugimoto S, Yamane M, Yorifuji T, Takahashi K, Toyooka S.
A simple prognostic benefit scoring system for sarcoma patients with pulmonary metastases: Sarcoma Lung Metastasis Score.
Ann Surg Oncol. 2021;28(7):3884–3890. (doi: 10.1245/s10434-020-09272-1)
本論文へのリンク

2021/6/29

【論文出版】岡山における新型コロナウィルスの流行と自損行為による救急出動の関連について

岡山における新型コロナウィルスの流行と自損行為による救急出動の関連について評価した原著論文がJournal of Epidemiology誌に掲載されました。
岡山における2018-2020年の救急出動記録を用いて、新型コロナウィルスの流行と自損行為の関連について評価したところ、2020年の救急出動数は過去2年間に比べて減少していましたが、自損行為に関連する救急出動数と割合は増加していました。また、この増加は25-49歳の方と女性の間で顕著でした。

Habu H, Takao S, Fujimoto R, Naito H, Nakao A, Yorifuji T. Emergency dispatches for suicide attempts during the COVID-19 outbreak in Okayama, Japan: A descriptive epidemiological study. J Epidemiol. 2021 Jun 26. doi: 10.2188/jea.JE20210066. Epub ahead of print. PMID: 34176855.

本論文へのリンク

どうぞご覧ください。

2021/6/24

【学会発表】Marginal sufficient component cause modelに関して(@54th Annual Meeting of the Society for Epidemiologic Research)

2021年6月22~25日に、54th Annual Meeting of the Society for Epidemiologic Researchがオンラインで開催されています。
学会HPへのリンク


「Analytic methods for reducing bias in observational data」セッションにおいて、以下の口頭発表を行いました。


Suzuki E, Yamamoto E.
Marginal sufficient component cause model: an emerging causal model with authenticity?
プログラムへのリンク


Marginal sufficient component cause modelは、新たな因果モデルとして、以下の論文で、最近提唱されたものです。


Lin SH, Huang YT, Yang HI.
On identification of agonistic interaction: Hepatitis B and C interaction on hepatocellular carcinoma.
Statistics in Medicine 2019; 38: 2467-2476.

Lin JH, Lin KI, Lee WC, Lin SH.
Stochastic approach for mechanistic interaction under longitudinal studies with noninformative right censoring.
Statistics in Medicine 2020; 39: 114-128.

Huang YT, Tai AS, Chou MY, Lin GX, Lin SH.
Six-way decomposition of causal effects: Unifying mediation and mechanistic interaction.
Statistics in Medicine 2020; 39: 4051-4068.

Tai A-S, Huang Y-T, Lee W-C, Lin S-H.
Conceptualization of agonistic interaction in a marginal sufficient component cause model: an alternative interpretation for subadditive interaction.
Journal of the Chinese Statistical Association 2020; 58(3): 168-198.


本発表では、この新たな因果モデルについて考察し、結論として、従来のSufficient component cause modelが有用であることを論じています。


詳細については、以下の論文がEPIDEMIOLOGYに出版される予定です。


Suzuki E, Yamamoto E.
Marginal sufficient component cause model: an emerging causal model with merits?
Epidemiology. (In press)

2021/6/19

【論文出版】データサイエンスにおける人工知能(AI)と疫学の位置付け

データサイエンスにおける人工知能(AI)と疫学の位置付けについて、岡山医学会雑誌に論文が出版されました。


頼藤貴志,鈴木越治.
データサイエンスにおける人工知能(AI)と疫学の位置付け―予測と因果推論の違い―.
[Artificial intelligence and epidemiology in data science: prediction and causal inference].
岡山医学会雑誌.2021;133(4):55–57. (doi: 10.4044/joma.133.55)
本論文へのリンク


2020年4月に、岡山大学グローバル最先端異分野融合研究機構にサイバーフィジカル情報応用研究コア(Cypher:cyber-physical engineering informatics research core)が設立されました。


本論文は、そのことを踏まえて岡山医学会雑誌で組まれている特集「人工知能(AI)を活用した医療の展開」の一つです。

2021/6/6

藤本竜平院生が、第116回・第118回日本循環器学会 中国・四国合同地方会で若手研究者奨励賞を受賞しました

2021年6月にオンラインで開催された第116回・第118回日本循環器学会 中国・四国合同地方会において、藤本竜平院生らの演題が若手研究者奨励賞(YIA)に選ばれました。

藤本竜平,鈴木越治,中村一文,頼藤貴志,伊藤浩.
高齢者における夏季の時間別気温変動と虚血性心疾患による救急搬送との関連.
第116回・第118回日本循環器学会 中国・四国合同地方会,2021年6月5–6日.
Program book P. 30 (Y08)

暑熱曝露は心血管疾患発症のリスク因子とされており、虚血性心疾患発症にも影響するとされます。

本研究は、高齢者における高気温と虚血性心疾患発症との時間層別の関連を評価しました。岡山市における夏季(6-8月)に救急搬送された65歳以上の高齢虚血性心疾患を対象としたケースクロスオーバー研究による条件付きロジスティック回帰分析を行いました。

気温30度以上の場合に疾患発症のオッズ比上昇を認め、男性でその影響がより強かったです。さらに同気温における疾患発症前の時間間隔毎の解析では覚知48から71時間前にオッズ比 1.16 (95%信頼区間: 1.03, 1.30)と上昇を認めました。

地球温暖化により日本でも極端な猛暑日が増加しています。本研究を通して、高齢者が暑さに晒された2-3日後の虚血性心疾患遅延発症リスクの認識は、循環器救急体制、高齢者への暑さに対する予防啓発(真夏日における室内温度の適正化や不要な外出の制限など)に重要と考えられます。

気温などの環境因子は内因性疾患に多面的な影響を及ぼし、その関連性は一定ではありません。今後も変化し続ける環境因子が疾病に及ぼす影響について引き続き研究を進めていく必要があります。

2021/3/22

【論文出版】幼少期テレビ視聴とその後の視力低下に関する原著論文

岡山大学病院眼科の松尾先生との共著論文が出版されました。21世紀出生児縦断調査(2001年出生児)を活用した研究で、1.5歳と2.5歳時に主な遊びがテレビ視聴である子供はその後の小学生時に視力低下をきたす頻度が高く、2.5歳時のテレビ視聴時間が長いほど視力低下の頻度が高いという結果でした。3.5歳以降のテレビ視聴時間との関連ははっきりせず、3歳までのテレビ視聴の重要性が示唆されます。

Matsuo T, Yorifuji T.
Television-watching in the early years of life and the association with parents’ concerns about decreased visual acuity in their elementary school-aged child: results of a nationwide population-based longitudinal survey of Japan
Jpn J Ophthalmol. 2021 Mar 16. doi: 10.1007/s10384-021-00831-x. Online ahead of print.
本論文へのリンク

どうぞご覧ください。

2021/2/20

【論文出版】脳神経外科の村井先生らとの共著論文出版のお知らせ

岡山県の中核施設による多施設共同の悉皆調査を行い、脳脊髄動静脈シャント疾患の罹患率とその推移を検討した論文がStrokeに出版されました。

10年間で393例が集積され、硬膜動静脈瘻の罹患率が脳動静脈奇形の罹患率よりも多いこと、脳脊髄動静脈シャント疾患の罹患率が増加していることを示しました。

Murai S, Hiramatsu M, Suzuki E, Ishibashi R, Takai H, Miyazaki Y, Takasugi Y, Yamaoka Y, Nishi K, Takahashi Y, Haruma J, Hishikawa T, Yasuhara T, Chin M, Matsubara S, Uno M, Tokunaga K, Sugiu K, Date I.
Trends in incidence of intracranial and spinal arteriovenous shunts: hospital-based surveillance in Okayama, Japan.
Stroke. (In press). (doi: 10.1161/STROKEAHA.120.032052)
本論文へのリンク

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