2014/12/26

高齢者における、黄砂と救急搬送の関連に関する論文出版のお知らせ

近年、日本に飛来する黄砂の観測日は増加しており、その健康影響が懸念されています。また、人為的な発生源(車など)からの大気汚染による健康影響を、これら黄砂が増加させる(効果修飾)可能性もまた示唆されています。

本研究では、岡山市の救急搬送データを利用して、黄砂の健康(全疾患、循環器系と呼吸器系疾患発症)への直接的影響と効果修飾的影響の2つの側面を検討しました。結果として、黄砂と救急搬送の関係は、交通由来の大気汚染物質(浮遊粒子状物質)と独立して観測されました。黄砂の四分位範囲の増加により、イベント日より3日後で、全疾患の相対危険度が1.012 (95% CI: 1.004, 1.021)、循環器疾患が1.021 (95% CI: 1.002, 1.039)、呼吸器系疾患が1.026 (95% CI: 1.003, 1.050) でした。また、黄砂が多い日では、浮遊粒子状物質の増加による救急搬送の相対危険度は、循環器系疾患が1.299 (95% CI: 1.071, 1.576) でしたが、このリスクの増加は、黄砂がない日では観測されませんでした。

このように、黄砂は、全疾患、循環器系疾患、呼吸器系の疾患発生に影響をもたらし、浮遊粒子状物質の循環器系疾患への影響を効果修飾することが示唆されました。

Kashima S, Yorifuji T, Suzuki E.
Asian dust and daily emergency ambulance calls among elderly people in Japan: an analysis of its double role as a direct cause and as an effect modifier.
Journal of Occupational and Environmental Medicine. 2014;56(12):1277-83.
本論文へのリンク (PubMed)


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