2014/4/29

看護職員の地理的分布の推移に関する論文出版のお知らせ

わが国における看護職員の地理的分布の推移について検討した論文が Acta Medica Okayama に出版されました。

近年、医療政策上の課題として医師をはじめとする医療人材の全国的な分布や偏在が挙げられています。医師や歯科医師等についてはいくつかの研究報告がなされていますが、看護職員の分布や偏在について系統的に行われた研究は認められていません。

本研究では2000年から2010年の間における看護職員の地理的な分布の傾向を評価し、その間に施行された医療政策や社会問題などがどのように分布に影響するのかについて考察しました。各都道府県の保健統計より二次医療圏単位での看護職員の分布を算出し、ジニ係数を用いて偏在について評価しました。また、経時的な分布の推移を評価するためマルチレベル分析を行いました。結果として、看護職員数の増加と比較すると偏在の改善は顕著に認められず、医療政策や社会問題が看護職員の分布に影響を及ぼす可能性が示唆されました。また、人口密度を調整した上でも都道府県庁所在地を含む二次医療圏に有意に看護職員が集まる傾向が示唆されました。

さらなる詳細な検討が望まれるものの、本知見は、均等な看護職員の分布を実現するためには何らかの介入が必要であることを示唆していると解釈されます。

Izutsu M, Suzuki E, Izutsu Y, Doi H.
Trends in geographic distribution of nursing staff in Japan from 2000 to 2010: a multilevel analysis.
Acta Med Okayama. 2014:68(2):101-110.
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